作詞・作曲:岩崎純一 色褪せない記憶の中で、 今日も眠れぬ夜を過ごす。 浅葱色の水溜りに、また雨が落ちる。 ゆらゆらと輝いて視界をたゆたう、 綺麗な色たちの巡り合い。 「哀しみ」の乗り越え方について、 昨日読んだ本に書いてありました。 あなたには私の心のささやきが聞こえるでしょうか。 ナイトガウンに包まれた私の体の奥から、 不安が天井を見つめる。 花びらの一枚欠けた花を握り締めたまま、 そっと眼を閉じる。 ・・・花の香り。記憶の香り。 愛を奏でては愛を穿って、 情が「たった一つの全て」になる時、 私はもっと繊細になる。 色褪せない記憶の中で、 今日も眠れぬ夜を過ごす。 濃紺色の宵闇に、月の光が少しばかり私を救う。 髪の下から頭を抱えた手を、 そっと胸に返す。 私の小さな胸の中に血を流す美麗な哀愁は、 浅く残ることも、深く消えることもできない。 しゃがみこんでは一つの大切な情念を 摘み取ってゆく心の旅。 ナイトガウンに包まれた私の体の奥から、 不安が天井を見つめる。 花びらの一枚欠けた花を胸に起き上がって、 窓をそっと開ける。 人生の一ページに挿んだ花びらが、 人肌に落ちる。 ・・・夜の香り。記憶の香り。 情を奏でては情を覗いて、 愛が「全てである一つ」になる時、 私はもっと壮大になる。 涙が零れぬように、 大きく息を吸い込む。 琥珀色のそよ風の匂いが私を包み込む。 花の淡い色に染まり、時の流れに惹かれて、 惹かれて染まるほど、 傷付いた花が私の胸の上で濡れる。 たとえつらさが頭をもたげても、 美しい追憶の旋律とともに、 今日も新たな夜明けを待って、 花に願う。 私を忘れないで・・・。 (文学作品として『岩崎純一全集』第94巻にも収録しています。)