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喪失した共感覚 : 知覚・共感覚 : 岩崎純一のウェブサイト
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喪失した共感覚

 持っていない共感覚が無いと言えるほどの多くの共感覚を持つ私にも、幼少から今までに失ってしまった共感覚があります。それを挙げておきます。(2006年執筆、2014年7月15日改筆)



●共感覚による計算能力

 小学二年生の頃、算数の授業中に先生から「サイコロ(立方体)の展開図を全て見つけましょう」という問題が出されました。この問題を僕が共感覚によって二分弱で解いて先生のところまで持っていき、11通りの全てが正解だったため、そのご褒美として残りの時間はクラス全員が休み時間となりました。この思い出は、自分の共感覚が人から愛された嬉しい思い出の一つとして、今も自分の中に残っています。

 自分がこの問題をどうやって解いたか、載せておきます。

(始め)
 立方体の面は六つある
→共感覚色に変換

→漢数字に変換・・・「三六五八六九五八二九四七」
→再度共感覚を使い、これらを並べ替えてできる二文字の大和言葉に変換・・・「あす(明日) ひと(人) あか(赤) むら(村) とき(時) しほ(潮) こひ(恋) よる(夜) はな(花) さき(先) うみ(海) もり(森)」
→さらに並べ替える・・・「きとらとりきしるはあみもこほすひうひさなあよかむ」
→何度かつなげる・・・「きとらとりきしるはあみもこほすひうひさなあよかむ・きとらとりきしるはあみもこほすひうひさなあよかむ・・・」
→もう一度漢数字に変換・・・「五五五五五五五五五五五七三一八二六・・・」
・・・
→最初の11個だけが美しいグラデーションを呈する
→立方体の展開図は11通りである
(終わり)

 今自分が見ても「一体何がどうなっているんだ」と思うこのような計算方法は、幼少期には全ての人が持っているものでしょうし、それが成人しても残っているような人はサヴァン症候群と呼ばれ、現在、この呼称を与えられている人は世界に数十人しかいません。(共感覚者のダニエル・タメット氏、キム・ピーク氏など)

 私の場合、日本人にしかあり得ない解き方をしているのが特徴だと思いますが、成人してから、このような能力をものの見事に失いました。しかし、個々の数字の共感覚色だけは完全に残っています。

 18歳頃からは、四則演算については、ほぼ他の現代日本人と同様の数概念による抽象的思考で解いています。簡単な計算は、今でも共感覚演算で行いますけれども。

 ちなみに、有名な共感覚者ダニエル・タメット氏は、数字を以下のリンク先のような風景として見ているそうです。

ダニエル・タメット氏の数字についての共感覚

 氏の「53×131=6943」の計算方法も載っています。まず、53と131をそれぞれの共感覚色・共感覚形に変換し、その間に出現する共感覚色・共感覚形が6943の色と形をしているので、答えは6943だということです。

 ともかく、「最初の11個がグラデーションだから、答えは11通りだ」という先の私の主張と同じようなものです。ただし、アラビア数字そのものは、元はインド・アラビア・西洋文明圏のものであり、今でも世界の数億人がアラビア数字を使用していませんから、タメット氏の場合は、ある時代以降の西洋人、あるいは一部の近現代人にしかあり得ない解き方をしているのが特徴だと言えます。

 タメット氏の場合も私の場合も、生得的な知覚と後天的な識字能力・思考との両方を図らずもフルアクセルで発揮してしまうタイプなのだと思います。

 しかし、タメット氏の場合、私が失ったそのような共感覚的な演算能力を成人しても持っているのがすばらしいと思います。それどころか、円周率や外国語の暗記が極めて得意であるなどの、典型的なサヴァンの能力を見せています。普通は、早い人は3歳や5歳あたり、遅い人でも10代・20代のどこかで、このような能力は急速に衰えてしまいます。

 以下は、2012年9月14日時点での、数字についての私の共感覚です。

共感覚立体画像 (1) 「数字についての共感覚」

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 それから、共感覚教育を我が子に施したいと考えている世のお母さん方から、しばしば「共感覚を使って一流大学に受かる方法はありますか? どうすればウチの子にも共感覚の才能が身に付きますか? よその親子よりも特殊な天才性で一歩リードしたいです」といったご質問・ご相談を頂くのですが、残念ながら、人間にとって重要なことはそういうことではないと私は考えています。

 入試に受かるために必要なことは、「勉強ができること」や「教養があること」ではないと思います。「学業の成績がよいこと」です。そして、「その学校の入試問題の癖に媚びること」、そして、「どんなに特殊な人も、同時代の受験方式の常識に合わせること」です。

 先の私のような回答を書いたら、誰よりも先に答えが分かっていたとしても、入試という「法」の中では「違法行為」になります。「合法的に」一流大学に入って共感覚を思いきり研究したいか、一流大学に最初から入らないか、などを子どもに自由に選んでもらうか、まずは親・大人が自分で大学の運営者になって、共感覚の子どもたちを特殊能力試験や面接試験で合格させる入試方法を整備するかの、どちらかしかないと思います。



●共感覚による強い排卵感知能力

 思春期を少し過ぎたくらいまでは、女性の排卵を感知するのに、目視を必要としませんでした。どういうことかと言うと、衣服を着た排卵期の女性がそばを通っただけで、自分が女性とは別の方向を向いている場合であっても、排卵を把握できたという意味です。また、周辺の何人かの女子生徒が初潮を迎えたのも、共感覚で見ていました。

 この共感覚と閃輝暗点が併発したときには、すぐに保健室に行って寝込んでいました。見えているものは美しいのですが、身体はかなりの消耗を伴うためです。

 その後は、排卵感知能力だけが衰えていき、今では排卵感知よりも月経感知のほうが頻度が相対的に高くなり、おまけに排卵感知にも月経感知にも、ほとんどの場合は目視を必要とするようになっています。排卵というのは、全ての過程が女性の内性器の中で起こることですから、到底、普通の五感では感知不可能であることは明らかです。

 一方で、月経は、「外界」に近い部分で起こることですし、何より排出物を伴いますから、極端に言うと、無難な五感でも感知できます。つまり、私とて、次第に「共感覚→五感」という変遷過程を辿っていることは明らかで、さらに月経感知能力も昔よりは衰えてきています。
 (もちろん、一般の男性は、衣服を着た女性の月経もあまり感知できないようですから、その点では、私の共感覚は今でもいわば「驚異的」なのかもしれませんが・・・。)

 なお、女性に対する類似の共感覚をサイトで告白されていた男性には、私以外にもN2氏などがいらっしゃいましたが、残念ながらどのサイトも閉鎖されました。
N2氏の共感覚サイト