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身体表現性障害

精神医学的定義
精神医学的定義の概要
罹患者との個人的交流
「岩崎式日本語」にまつわる個人的交流
参考文献

精神医学的定義

 ICD-10 : F45 身体表現性障害 (Somatoform disorders)
 DSM-IV-TR : 8 身体表現性障害 (Somatoform Disorders)
 DiseasesDB 1645, eMedicine med/3527, MeSH D013001 : 心身症(身体表現性障害) (Somatoform Disorders)
 MedlinePlus 001236, MeSH D006998 : 心気症 (Hypochondriasis / Hypochondria)
 DiseasesDB 33723, eMedicine med/3124 : 身体醜形障害(醜形恐怖) (Body Dysmorphic Disorder / Dysmorphophobia)
 MedlinePlus 001532 : 季節性情動障害 (Seasonal Affective Disorder)

精神医学的定義の概要

 身体表現性障害とは、疼痛、吐き気、しびれなどの自覚的な身体症状があり、かつ日常生活が妨げられ、自分でその症状をコントロールできないと「考えている」状態を言う。広義には、検査の結果何も異常が見つからなかったり、自覚症状もないにもかかわらず、何らかの病態にあると確信する精神障害をも指す。

 身体化障害、心気障害、転換性障害、身体醜形障害などに分類され、特にDSM-IV-TRでは転換性障害や身体醜形障害が重視されている。転換性障害は、かつて「ヒステリー」と呼ばれていた症状の一部を含み、解離性障害と極めて近縁か、または区別困難であるケースも多い。

 身体表現性障害は圧倒的に女性に多い。「ヒステリー」という言葉は「子宮」の意味であり、かつては原因が子宮にあると考えられていたためにこの名が付いたが、いずれの時代においてもヒステリーの発症は女性に多く、現在の身体表現性障害もほとんど女性のものである。ただし、男性が発症しないわけではない。

 また、気分障害、不安障害、神経症性障害に随伴する身体症状は、定義上、身体表現性障害から排除されている。しかし、これらの各疾患が連続体を成していないわけではない。

 ICD-10とDSM-IVでは「身体化」や「転換」に関する見解が異なっており、特に身体表現性障害、転換性障害、離人症・現実感喪失ないし離人症性障害、多重人格障害ないし解離性同一性障害を巡って、概念が大きく異なっている。

 解離性障害は、ほぼ旧概念の「ヒステリー」のうちの「解離性ヒステリー」を指し、これがDSM-IIIより廃止され「解離性障害」となったものである。DSMでは、「転換性ヒステリー」は「転換性障害」として、心気障害や身体化障害と共に身体表現性障害の下位に分類された。しかし、ICDでは「解離性ヒステリー」も「転換性ヒステリー」も「解離」と呼ぶ傾向にあり、「F44 解離性[転換性]障害」としてまとめたのである。

 すなわち、DSMにおいては、「身体症状を訴え、それが身体疾患によるものであると訴えながら、その症状を説明できるだけの身体疾患や気分障害などの精神疾患が検査などで確認できない症候群」に該当するものは、全て身体表現性障害である一方、ICDにおいては、そのうちの転換性障害については「解離」と見なされているのである。

 醜形恐怖症や自臭症(誰しもが多少は持つ口臭・体臭について、自分のそれらがとりわけ強いとする妄想)は、ほとんど神経症性障害ではなく精神障害として扱われる。実際、身体表現性障害であるか妄想性の障害であるかの区別が付けがたいケースが多い。(実際に生得的な身体の異形や病的な口臭・体臭を持つ場合は、精神疾患に含まれない。)

 しかし、平均的な口臭・体臭であるにもかかわらず、(親、教師、友人、異性などからのそれらに対する行き過ぎた指摘や罵詈雑言を契機として)口臭・体臭を気にし始め、自分ほどそれらが強い人はめったにいないとの自虐的かつ長期的な妄想を持つに至っているケースがほとんどである。

 中には、電車やエレベーターを日常的に避けて生活していたり、そのような場では口臭・体臭を漏らすまいとしてじっとしていたり呼吸を控えたりしているケースもあり、最終的には失神したり、職場や学校を休みがちとなったりする。自殺に至ったケースも多い。

 また、髪質を気にしたり、男性が自身のペニスの形や大きさ(他の同性との比較における小ささ)を気にしたり、女性が胸の大きさ(他の同性との比較における小ささ)などを気にしたりすることも、身体醜形障害であるとされている。女性の場合、摂食障害を併発していることが多い。

 幼少期・児童期などにおける自身の体型や外性器への他者による批判的発言などをトラウマとして、夏でも露出を少なくするため厚着をしたり、公衆トイレで用を足せなくなるなどの症状が出ることとなる。

 身体醜形障害には大きな男女差は見られないが、身体化障害や転換性障害は女性に多い。

 季節性情動障害は、軽度・中等度の神経症・気分障害・不安障害などの症状が季節・天候・居住地域などの変化によって発生する場合を言う。主に冬期と雨期に悪化する。日本では古くから知られる「情動変化」にすぎないが、温暖な地中海圏及び米国の医学の見解では神経症ではなく精神障害・脳機能障害である。

罹患者との個人的交流

 身体表現性障害は、「心のありよう」が直接的に「身体」に症状として現れる現象の総称であると言える。そのため、私は身体表現性障害を、うつ病・気分障害、不安障害、解離性障害、そして、精神疾患(ICD-10のF群)ではなく神経系疾患(ICD-10のG群)に分類されていながら精神疾患と深い関係にあると考えられる自律神経失調症と共に、安易な心身二元論への有効な反証になると考え、東洋思想・仏教哲学・実存哲学などの観点から関心を持った。

 このため、私のサイトに初めて精神疾患のページを設けた際にも、身体表現性障害の下位分類の多くを「日本人に固有または顕著な精神様態」として挙げてきた。

 私が交流してきた方の例を挙げる。例えば、小学生・中学生期を通じて、左右非対称のアザやホクロのある容姿を笑われたり罵詈雑言でけなされたりして、身体醜形障害にかかった女性がいらっしゃる。それが長期化・重大化して、自分には子供を作る資格がないのではないかといった気分まで生じるに至った。

 また、この女性は、あまりに正直に、自らの小学生・中学生期の体験を職場の上司に話してしまったため、これが災いして、上司から「そんなところにアザがあるようでは、いい仕事もできないね」と罵倒されるに至った。元々この女性は、相手の性格にかかわらず正直に接する、礼節ある人である。

 そして、検査の結果、ご本人の身体には何の病変もなかった。これは明らかに、同時代の美白・美容整形ブームやアイドル賞賛ブームを他者排撃のための自己肯定の根拠とする日本国民(日本女性)の心理、ないし、それに迎合する集団心理がもたらした、加害者側の社会病理の帰結であると、私には思える。被害者にとっては、自分の症状は心の病理でないばかりか、体の病理でさえなく、従って医学そのものが無関係である。

「心の不調が体の不調として現れる状態」の呼称・俗称には、不定愁訴、心気症、心身症(身体表現性障害)、自律神経失調症、醜形恐怖、醜貌恐怖、身体醜形障害、季節性情動障害、場面緘黙症など、色々なものがあるが、実際にこれらを抱える方々と交流したところで、区別は不可能であると言えるし、またそこまで緻密に区別する必要があるかどうかも疑問ではある。自律神経失調症がICD-10では「G群 神経系の疾患」に分類されるなど、精神医学の立場としても致し方のない分類となっている。

 それにしても、「体の不調」を親に訴えて学校や仕事を休む子供や成人が多くいらっしゃるが、「学校や職場に行きたくない心境」を「体の不調」に置き換えている、すなわち身体表現性障害一般の症状である場合が多々あるような気がするから、親、家族、同僚、友人がそのような「心の叫び」を見抜くことも、また必要な社会になっていると思う。

▼ 私がご相談を受けて交流してきた、精神・身体症状共感覚その他の特殊知覚・症状を持つ女性が入居者の多くを占める、シェアハウス型の女性寮のサイトです。
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シェアハウス型特殊女性寮 コンフィデンシャル・レディース東京(Confidential Ladies Tokyo)

「岩崎式日本語」にまつわる個人的交流

 身体表現性障害の方々の使用状況も、うつ病・気分障害や不安障害の方々のそれとよく似ている。女性が多く、極めて現代日本語に近い文法のまま、悩み苦しみを綴っておられる状況である。

参考文献(精神疾患研究のトップページに挙げた文献以外)

"Hypochondriasis". CareNotes. Thomson Healthcare, Inc., 2011. Retrieved 6 April 2012.
Daniel L. Schacter, Daniel T. Gilbert, Daniel M. Wegner.(2011).Generalized Anxiety Disorder.Psychology second edition.