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岩崎純一のウェブサイト > 精神病理学・精神疾患研究 > 摂食障害
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摂食障害

精神医学的定義
精神医学的定義の概要
罹患者との個人的交流
「岩崎式日本語」にまつわる個人的交流
参考文献

精神医学的定義

 ICD-10 : F50 摂食障害 (Eating disorders)
 DSM-IV-TR : 12 摂食障害 (Eating Disorders)
 MeSH D001068 : 摂食障害 (Eating Disorders)

精神医学的定義の概要

 摂食障害は、ICD-10、DSM-IV-TRを含む各精神疾患分類において、極めて誤差が小さい。非常に症状が明確な疾患である。ただし、ICDにおいては「F50-F59 生理的障害及び身体的要因に関連した行動症候群」の下位分類である。

 無食欲症、拒食症、過食症などに分けられ、罹患者の体型は極度の痩せ型と肥満体型とに二極化する傾向にある。そして、ほぼ女性によって占められる疾患である。男女比は、およそ1対5から1対10までの間である。

 特に若年女性において自身の指を用いた嘔吐の反復などの随伴行動や、うつ症状、不安症状が見られる。一般に巷で「摂食障害」や「拒食症」という言葉で呼ばれているものは、ほとんどこのような状態を指している。嘔吐と過食を繰り返す場合、境界性人格障害をも疑われる。

 むろん、うつ症状や不安症状が大食の女性よりも拒食の女性のほうに多発するのは、拒食状態すなわち栄養失調状態においては体力や免疫機能自体が損なわれるためであり、月経が停止することもある。

 逆に、過食の女性では、躁状態や極端ないら立ち、激高などがしばしば見られる。過食と言っても、野菜や魚介類、炭水化物などの過食ではなく、菓子類やファーストフードの偏食としての過食である場合が多い。拒食の場合も多くは偏食であり、菓子類の量が減っていないケースがあるし、嘔吐を伴っている場合は、過食症であることも多い。

 原因は心因性である場合が多く、夫やパートナーの男性から容姿に関する否定的発言を受けて、「もっと痩せなければならない」と自らに言い聞かせて発症するケースもあるが、しばしばテレビなどでアイドルやモデルの痩せ型の体型やダイエット前後の写真を見て、これに強い憧れを抱いて発症するケースもある。

 摂食障害についての解説は、以下で述べる私の交流相手の摂食障害者の方々が通院・入院されていた赤城高原ホスピタルの 【 摂食障害の基礎知識 】が詳しい。

 また、摂食障害は、むろん様々な理由から起きてしまうが、性的被害による女性の発症が極めて多く、 【 虐待被害者の声 】には性的被害により摂食障害となった多くの女性の声が寄せられている。

罹患者との個人的交流

 摂食障害の方々との交流は長いが、私の場合、特に拒食症、極度の痩せ型の女性との交流が多い。そもそも私を含む男性にとっては、なぜ一部の女性はそのように必要以上に痩せようとするのか、その原因を探るところから始める必要がある。

 DSM-IV-TRは、原因よりも表に現れた症状自体を操作主義的に扱う疾病分類・診断基準であるため、原因はそれほど重視されないが、あえて原因に注目したく思う。

 問題なのは、きちんと栄養バランスのとれた的確な食事をし、パートナーなどに否定的発言を受けていない限り、多少の体重の変動や超過・不足はあっても、自己を否定するには至らないはすであるのに、なぜ「自分はまだ痩せきっていない」と考えるのか、という点である。

 この点を意識して摂食障害者の女性と接してきた結果、結論を出すにはまだ性急すぎるものの、次のような共通の特徴や経験を持つ摂食障害の女性たちがいたことも事実である。

●同性の姉妹が一人または複数いる。あるいは、いつも決まって一緒に遊んだり喫茶を楽しんだりする同性の友人がいる。
●母親が摂食障害者女性の姉や妹、または友人のほうを、容姿に限らず、学校の成績や学歴、職歴、性格などにおいても、摂食障害者のそれらと比較して賞賛してきた。(または母親がそのような意識を持って、摂食障害者女性と姉妹、女性と友人を暗に比較してきた。)
●摂食障害者女性が、自ら気付くか否かに限らず、上記のことを主な理由として、同性の姉妹や友人のことを羨ましいと感じている。あるいは、母親を見返したいと思っている。

 逆に、このような特徴や経験を持たない女性の場合、異性や上司から容姿や体型についての暴言やセクハラに遭っていながら、摂食障害に陥らずに耐え抜いたケースに出会ったことがある。

 このように考えると、元々「私は女性であって、それでいいんだ」という女性性としての自己承認の芽を摘むような家庭教育や刷り込みを母親や近親者がおこなったところに(摂食障害へのなりやすさの醸成)、赤の他人による明確な言動としての自身の容姿への否定や、実父・上司の男性・近所の男性などからの性的暴行・レイプの被害、テレビなどにおけるモデル女性の体型やダイエット広告の目撃が重なると(摂食障害の直接の契機)、摂食障害は発症するのではないかと、私は考えている。

▼ 私がご相談を受けて交流してきた、精神・身体症状共感覚その他の特殊知覚・症状を持つ女性が入居者の多くを占める、シェアハウス型の女性寮のサイトです。
 女性に特有の症状・知覚については、女性スタッフおよび寮生に解説をお願いしています。
 →→ ●精神・身体症状、共感覚、その他の特殊知覚・症状の解説の分担などについて

シェアハウス型特殊女性寮 コンフィデンシャル・レディース東京(Confidential Ladies Tokyo)

「岩崎式日本語」にまつわる個人的交流

 摂食障害者は特に言語に障害があるわけではないため、私も常々普通の現代日本語で交流しており、岩崎式日本語の登場する機会はほとんどないと言える。

参考文献(精神疾患研究のトップページに挙げた文献以外)

Forman-Hoffman, Valerie L.; Cunningham, Cassie L. (April 2008). "Geographical clustering of eating disordered behaviors in U.S. high school students". International Journal of Eating Disorders 41 (3): 209-14.
Rothenberg A. Eating disorder as a modern obsessive-compulsive syndrome. Psychiatry 49;45-53,1986.
『自傷行為の理解と援助―「故意に自分の健康を害する」若者たち』 松本俊彦、日本評論社、2009年8月