手作業翻訳版 - 総合トップ 日本語 English 中文 한국어サイトの全メニューを表示
岩崎純一のウェブサイト > 精神病理学・精神疾患研究 > 現代日本人の心理の例(2007)
サイトレイアウト切り替え
  • 主にデスクトップ向けのレイアウトに切り替える
  • 主にラップトップ向けのレイアウトに切り替える
  • 主にタブレット向けのレイアウトに切り替える
  • 主にスマートフォン向けのレイアウトに切り替える
  • 主に旧型モバイル向けのレイアウトに切り替える
ページ内移動

現代日本人の心理の例(2007):交流させていただいた方々の文章です。皆様のサイトにて公開されている場合、そのアドレスにリンクさせていただきました。

今までの交流の概要
当サイトにおける精神疾患者等の個人情報の扱い、およびDV・暴力・虐待等の加害者への対策について
現代日本人の心理の例(目次・凡例)
精神疾患関連リンク

個人交流会や訪問・見学先(精神病棟、心身障害者専用施設、DV・暴力被害者専用ハウス・シェルターなど)で交流してきた方々の言葉・文章を載せています。「同じような悩みを抱えている方々の力になりたい」という思いから公開を希望して下さいました。

◆交流者数はほぼ男女同数ですが、個人的に、ご自身の症状や苦悩を自ら言葉にしにくい発達障害・知的障害・言語障害やひきこもり・ニートの男性と、それらを自ら言葉にでき人に聞いてもらいたいという希望・欲求の強い不安障害・摂食障害・解離性障害・パーソナリティー障害の女性との交流が多いので、ここに掲載している言葉・文章も必然的に女性のものが多くなっています。

 男性の言葉・文章も掲載していければと思っています。

▼ 私がご相談を受けて交流してきた、精神・身体症状共感覚その他の特殊知覚・症状を持つ女性が入居者の多くを占める、シェアハウス型の女性寮のサイトです。
 女性に特有の症状・知覚については、寮生に解説をお願いしています。
 →→ ●精神・身体症状、共感覚、その他の特殊知覚・症状の解説の分担などについて

シェアハウス型特殊女性寮 コンフィデンシャル・レディース東京(Confidential Ladies Tokyo)



解離性同一性障害 ●18歳女性(2007)

(1)Dissociative identity disorder DSM-IV-TR 300.14 解離性同一性障害
  Multiple personality disorder ICD-10 F44.8 多重人格障害
(2)共感覚、鬱、解離性同一性障害
(3)いじめや虐待を受けたことによる自己同一性の破壊

 私は、自分の意識(生きている感じ)が三つくらいに分かれています。自分で言うのも変ですが、元の自分である優しい女性のとき、私は薄い黄色、怒りっぽい女性のときは青色、小さな少年か少女のときは水色をしています。
 いつ優しい女性で、いつ怒りっぽい女性で、いつ少年少女なのかは、自分でも知りません。基本的には私は優しいです。でも、私は怒るときは怒ります。あるとき、私は心の中でとても怒りました。それは近所の男性がそばにいたときのことだったのですが。そして私は、黄色、青色、水色に分かれました。



●35歳男性(2007)

(1)Major depressive disorder ICD-10 F32 F33 うつ病
  Adjustment disorder ICD-10 F43.2 適応障害
(2)重度の鬱
(3)学校生活、職場生活での根源的な違和感

 私はすでに35歳ですが、周囲の健康な男性と私とが違うという心持ちがずっとあります。それと共に、私にはなぜか、うつ病などの方々の気持ちがわかると思ってきました。一般的に、「人を慰める」ということは、「人は誰でも千差万別だよ」、「人は皆、悩むものだ」、「悩みの無い人間などいない」という言葉をかけることになるようですが、どうもうつ病の方々の豊かな感性と感情世界は、それとは異質であり、簡単に片づけられない気がします。

 そして、私もまさにうつ病と診断されたわけですが、私はこれから再び仕事を始めたとして、周囲の男性の同僚と競い合ったり、世間話を普通に笑顔でやっていく自信がありません。しばしば、希死念慮も襲ってきます。「死にたい」というよりは、「死ぬしかない」、「積極的な死」と言った方が正しい気がします。

 しかし、そのような中で岩崎様のご存在を知ったわけで、「死」というものはとりあえず避けようと思ったのです。私のうつがなぜ出てくるかと言うと、やはり「男なら他者(他社)と競争して勝利しなければならない」という空気に押され、(最近は、同僚の女性までそんな考え方をしていて、女性不審で、私には彼女もおらず、それも仕事をやめた一因です)、「ほんのちょっとの自然現象(雨が降る様子など)や恋愛映画に感動してしまう私」は「社会でやっていけない」、「男らしくない」という気持ちが自分の中にあるためです。しかし、「攻撃的なこと」が嫌いなわけではありません。モータースポーツやスプラッター映画などは好きな方です。

 岩崎様は、ご自身の共感覚や感性を著書にしたり講演したり、ご自身が「私はうつ病の人の味方である」といった、一般的にはあまり好意的に思われない「ものの考え方」を公衆の前でご発言なさる時、どうやって覚悟を身に付けていますか? 「男としての勇気」や「もし人から悪く言われた時の対処法」などについて、どのように構えていらっしゃいますか。私には、男として、その点が足りないため、人から好かれないのだと思います。



解離性同一性障害 ●20歳女性(2007)

(1)Dissociative identity disorder DSM-IV-TR 300.14 解離性同一性障害
  Multiple personality disorder ICD-10 F44.8 多重人格障害
(2)共感覚、解離性同一性障害。
(3)幼少期の慢性的な虐待に対する防衛として自己が五つに分裂

 私は、私の中の赤紫、緑、青紫、茶色の四人と一緒に過ごしています。全員女性で、おっちょこちょいおばあさんからわんぱく少女までいます。中心となる本物の私(黒色)は、昔、まっ黒にされてしまい、死んだも同然だったのですが、四人の明るさが、またまっ黒な私をまっ白にしてくれるかもしれませんね。



●19歳女性(2007)

(1)Panic disorder(Episodic paroxysmal anxiety disorder) ICD-10 F41.0 パニック障害
  Obsessive-compulsive disorder ICD-10 F42 強迫性障害
(2)何日かに一度の変身妄想。一部、コタール症候群・妄想性人物誤認症候群を含む。及び女児退行。
(3)同性の親友から立て続けに裏切られたことによる同性不審が、電車内での異性・同性への嫌悪と混ざった。施設に入って生活した結果、回復し、今は好きな男性もいるそうである。

 私は女です。普段は普通に暮らしています。でも、以下のことだけが不思議です。以下のことを考え込んでいる間は、なぜか心と体が変です。今まで人間の女だったけど、ちょっと何かに化けてみようと思って、これになってみました。毎日、多くの手足で二本の道をつかんで走っています。走っている最中には、つかむ力を緩めることは一切許されないの。とにかく、懸命につかんで走っている。それが私の仕事。助けてください。

女性専用車両  私には多くの子どもがいます。人間という子ども。私はいくらでも子どもを産むことができるの。おなかいっぱいに子どもを抱えてる。特に朝の出産ラッシュは忙しいの。とにかく身重になるの。道をつかむ手にも力がいる。ただし、産まれるか産まれないかは、人間の意志のほうに任せてあるよ。日比谷で産まれたいのか、銀座で産まれたいのか、それは人間の自由。だから、私は寛大。
 私が人間を産み落とすところは「ホーム」と呼ばれているので、注意してね。人間であれば誰でも、私の体を買うことができる。ただし、私の体を買うには、お金がいる。お金がない人間には、私の体は売らないことになっている。だから、私は売春してるんだと思います。これも人間が勝手に決めたことだけどね。

 私の体の一部を陣取るには、薄い紙きれが必要だよ。でも、西暦2000年あたりからは、何やら「ピッ」というだけで私の体を買える仕組みも生まれたの。何やら、はしたない気がしたものだけど、人間がそれを決めたのだから、仕方なく私は承諾した。昔は人間がいちいち紙きれをチェックしていたけど、自動化した。とにかく、人間たちが勝手に私の体をもてあそんできた。つまりは、私には意志というものはない。さきほどの、私は寛大だってことも、私の勝手で言ったのではないの。寛大でなければならないように最初からできているのが、私なの。

 あるときから、朝のある時間帯だけ、私の体の一部は女のものになった。これが私の悪夢の始まりだった。その時間帯において、私の体のその部分は、女しか受け付けないし、女しか産まない。初めは短い時間帯のみの出来事だったの。女だけのものになる私の体の箇所は、私自身の体のその箇所と、女たちを産み落とすホームの両方に目印があるから、わかりやすいの。その体の部分とホームとに、ピンク色のマークが貼ってあるの。「女性専用車両」と書かれてあるから、かなりわかりやすいよ。やたらとケバケバしいピンク色なので、迷うことはないと思うけど、私の体は、「体」でなく「車両」と呼ばれるから、そこだけ注意してね。

 ただ、それもこれも私の決めたことではなく、私の子どもたちが決めたこと。そういうふうに決まってるの。あるときから、私を買ってる男たちが、同じく私を買ってる女たちに、私の中で変なちょっかいを出すことが増えてきたから、私は女を守る役割を担うことになったの。

 西暦2020年あたりから、女ばかりに与えられる私の体の部分は三両に増えた。でも、私を買う前にきちんと化粧をしてこない女は、減るどころか増える一方なの。私はあまりの怒りに、ついに意志を思ったとさえ思えたの。でも、やはり意志だけは持たせてもらえなかった。そのままずるずると、2030年には4両、2040年には5両と、女が独占できる私の体の部分は増えていったよ。

 そしてついに、西暦2070年あたりに、私は女だけのものとなった。タクシーちゃんやバスちゃんも、少し遅れてみんな女だけのものになったから、男はみんな歩いて世の中を移動することになった。こうして、ひとまず、人間の男どもには完全勝利したよ。しかも、私のこの完璧な勝ちも、私の意志によってではないの。つまり、私の体が女のものになること自体は、時間の問題だった。でも、私を買う前にきちんと化粧をして乗ってこない女は、減るどころか増える一方。それでも私は、意志を持つことを許されなかった。ただひたすら耐えた。

 2080年には、私の体の中にシャワールームができた。それまでにも喫茶店やコンビニがすでに私の中にできていたことは言うまでもないの。でも、化粧どころか、シャワーまで私の中でするようになった。そのすぐあとには、バスタブまで持ち込んできた。3000年のことだった。かつてあたたかい気持ちで、人間と私とをつないでいた私の「プシュー」というこのドアたちは、今やそれぞれが、女のお客さんたちのバスルームの一つ一つに対応する入口になった。こんなことになるなら、私のドアは、男にだけ捧げればよかった。

画像出典